京都青年会議所のご紹介
JCI運動の主体は常に「地域」です。
全世界に及ぶ青年会議所の運動の中枢は国際青年会議所(JCI=Junior Chamber International )であり、約17万人が国際的な連携をもって運動を行っています。 その中で、70年の歴史を持つ日本の青年会議所運動は、めざましい発展続け、現在、691の地域に約30,000名の会員を擁する戦後青年運動最大の団体です。 公益社団法人 京都青年会議所(JCI京都=Junior Chamber International Kyoto)は、1951年7月21日に創立され、公益社団法人 日本青年会議所へ認承証番号19号で加入、近畿地区協議会、京都ブロック協議会に所属し、 フランスのパリ青年会議所 ・香港ユンロン青年会議所と姉妹締結をしています。 JCI京都は、京都市内に居住または勤務する25才~40才までの青年経済人の集まりで、指導者訓練、社会への奉仕並びに会員相互の友情による連携につとめ、 政治・経済・社会・文化・に関する諸問題を研究実施し、関係諸団体と相協力して地域的経済の正しい発展を図り、さらに公益社団法人 日本青年会議所及び国際青年会議所の機構を通じ、 国際的理解及び親善を助長し、世界の繁栄と平和に寄与することを目的としています。 このように、2022年1月1日現在 120名の会員が、隣人の幸せを願い、青年としての英知と勇気と情熱をもって、明るい豊かな社会を築き上げる努力をするとともに、 現代社会を指導するにふさわしい人材を数多く育成していくために鋭意活動をつづけております。姉妹JC
京都青年会議所の所在地
TEL:075-342-0202 / FAX: 075-342-0200
E-MAIL:office@kyoto-jc.or.jp
理事長メッセージ
公益社団法人 京都青年会議所
2022年度理事長所信
Imagine-主体的に考え行動する市民を目指して-
角田 尚大
基本方針
1.主体的に考え行動する会員の拡大
2.新行動指針を基軸とした運動の展開とSDGsの更なる推進
3.JCI・JCI日本・近畿地区(協)・京都ブロック(協)への協力並びに出向者支援
4.公益社団法人として、より運動・活動が展開しやすい組織に向けた予算や事業、会議運営の再構築
始めに
2020年1月、新型コロナウイルスの国内最初の感染者が確認されて以来、パンデミックは今日まで収まる兆しを見せず、コントロール不能で先行きが見えない状況に人々は恐怖と不安を感じています。コロナ禍によって様々な望みが絶たれ、悩み、閉塞感から自己中心的で刹那的な生き方をせざるを得ない人々が増えています。一方で、コロナ禍だからこそ起こる急激な変化を機に、主体的に様々なことを考え、希望を見つけて生きようとする人々もいます。
10年前に発災した東日本大震災でも多くの命と財産・国力が失われましたが、同じような先行きが見えない状況でも生きる望みを失わず、復興に向けて具体的な行動をとり続けた人々がいました。そしてまた、私たちの先輩は戦後の荒廃した社会の中で「新しい日本の再建は私たち青年の仕事である」という強い使命感から、「明るい豊かな社会」の実現を目指し、「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」の三信条のもと京都青年会議所を1951年に設立され、自分たちこそが「京都のまちの産業を振興し、京都を国際文化観光都市として発展させよう」という主体的で力強い想いを原動力に、失敗を恐れることなく多くの一歩を踏み出し、まちの発展に果敢に挑戦し続けて来られました。
このように主体的に考え、具体的な行動を起こすことができる人々と、そうでない人々との違いはどこにあるのでしょうか。具体的に行動を起こせる人々には、立ち向かう課題や困難の先に、解決までのビジョンや道筋が見えています。コロナ禍でICTを活用したオンライン教育の促進が一気に進んだのはその一旦と言えるでしょう。また東日本大震災で私たちJAYCEEは、青年会議所が持つ民間のネットワークを使うことで、避難所で必要とされている物資が何か、どの配送ルートが利用可能で最も迅速に運べるか等をいち早く理解していました。このように、具体的に「イメージ」できるからこそ、希望を持って前に進めるのです。そして、そのビジョンや道筋が見えるかどうかは、いかに「想像力」を働かせられるかに懸かっているのではないでしょうか。
主体的に考え行動するための「Imagine」
現代社会では産業構造が高度化してきたと共に、都市化や核家族化も進んだことで、他人や地域との関わりを持たずとも生活ができるようになり、地域や社会の中で生きている実感がますます薄くなってきています。しかし現実には、当然ながら他者の社会・経済活動のお陰で私たちの生活が成り立っています。他にも、産業革命以降に急増している温室効果ガスが社会問題化している一方で、私たちが何気なく日々電化製品や自動車を利用する度に温室効果ガスは排出され、この問題へ確実に悪影響を与えています。これらのことを身近に感じている人々はどれぐらいいるでしょうか。社会課題へと私たちの認識を繋ぎ、これらの因果関係を顕在化させるものこそ「想像力」ではないでしょうか。まちや社会の課題に対して「想像力」を存分に働かすことで、課題を「自分ゴト」として捉えられるようになり、内発的動機から自然と主体的に考え始め、それが具体的行動へと繋がり、問題解決へより近づいていくのではないでしょうか。
現在のような決まり切った正解がないために何をやっても批判される時代だからこそ、「明るい豊かな社会」の実現を目指す創始の精神を脈々と受け継ぐ私たち京都青年会議所が、「想像力」を働かせて主体的に考え、歴史を紐解きながら、世の中の羅針盤としてまちの人々を導いていかなければならないのです。「自分たちの未来は自分たちの行動によって決める」という主体的なマインドを普及し、アクティブシチズンとしての行動を示し続けることで、まちの人々の考えや行動が変化し、やがて社会が変わるのです。まずは目の前のまちの課題に向き合い、「想像する」ことから始めて参りましょう。そして、私たちこそがまず主体的に考え行動を起こす、アクティブシチズンへと成長して参りましょう。
主体的に考え行動する会員の拡大
京都青年会議所には創立以来、京都のまちづくりを担う青年団体としてリーダーシップを長年発揮してきた歴史と伝統があります。そして、社会課題の解決という京都のまちに求められる役割を果たしつつ、今後もこれまで以上のインパクトを与え続けていくためには、共に運動を展開してくれるメンバーの拡大が急務です。また、JCI Mission(青年会議所の使命)に定義されているように、青年会議所は地域の若者にとって、発展と成長の機会を提供するプラットフォームでなくてはなりません。近年はコロナ禍もあって、新入会員拡大のための運動・活動は制限を余儀なくされ、未だメンバーの数は以前と比べると十分とは言えない状況が続いています。
これらの課題は、やはり世の中に京都青年会議所の必要性や存在意義をまだまだ浸透させられていないということではないでしょうか。青年会議所の運動・活動の使命や目的、その内容等を丁寧に伝えられ、共感してもらえれば、京都青年会議所には絶対に満足してもらえる内容やポテンシャルがあります。私たちが体感してきた数多くの成長と他者との関係を深める貴重な機会を京都青年会議所がいかに提供してくれるか、また、京都青年会議所がそれらのプラットフォームとして担ってきた歴史と伝統がどれほどのものか。大切なのは、これらをいかにメンバーが多くの人たちに直接伝えられるかではないでしょうか。京都青年会議所の魅力を入会対象者へ直接伝える機会を数多く創出する仕組みを構築すると共に、それを経験と責任ある立場の人間が率先して実践し、メンバー全員で取り組んで参りましょう。多くの市民に京都青年会議所の良さや理念を知ってもらい、共感を得て、私たちが暮らす京都の課題解決のために組織立って運動・活動を展開する同志を増やして参りましょう。そして運動を通して、多くの青年が地域をリードする人材へ成長できるプラットフォームとしての役割を果たして参りましょう。また、そんな青年会議所の理念に共感し入会を決意した予定者には、入会後の発展と成長がより大きいものとなり、積極的かつアクティブに活動できるように、フレッシャートレーニングセミナーを行い入会へ導いて参りましょう。
京都青年会議所がどのように運動を行っているかを対内外に示す広報活動は、地域から共感を得るためやブランドを確立するために、そして何よりも新たな会員を獲得するために重要です。京都青年会議所が社会課題を解決する団体であることやSDGsを推進する団体であることを、ホームページやSNS、JCニュース等の媒体を適切に活用し、市民を巻き込んで積極的に発信して参りましょう。
1961年より長年にわたって京都青年会議所が取り組んできた愛の献血運動は、まちの課題をダイレクトに解決する社会貢献活動であり、市民の理解を得やすい運動です。まちの人々に献血の重要性を知ってもらい献血がより身近な行動になるよう働きかけると共に、京都青年会議所の存在意義を理解してもらい会員拡大への機会に繋がるよう、引き続き運動を展開して参りましょう。
新行動指針を基軸とした運動の展開
私たちのまち京都は、平安時代から江戸時代までの1000年もの間、都であり続けたことから京都には様々な人々が集まり、独特の文化が形成されてきました。伝統産業にしても、その品種は京都市が認定したものだけで74品目あり、そのうち17品目は国が指定した「伝統的工芸品」です。1都市としての品種としては最多で、品質も国内随一であります。また、茶道、華道、書道等、和食文化やその他の生活に係る文化に加えて、祇園祭や時代祭を始めとする年中行事、祭礼等のユネスコ世界無形文化遺産に指定されているものを含め、今に至るまで京都で受け継がれている文化が持っているポテンシャルは日本でも唯一無二であり、それ故に2022年度中の文化庁の本格移転が決定されています。
私たちの先輩が設立当初より目指してこられた国際文化観光都市へ京都が発展し、文化庁の本格移転までもが決定されたのは、ただ単に古くからある寺社仏閣が多数残存しているからだけではなく、そういった建物や施設等のハード面に加え、自然とのかかわりや風土の中で生まれ育ち身に付けられた立ち居振る舞い、衣食住を始めとした暮らし、生活様式、価値観等のあらゆるソフト面が両輪となって、持続的に発展・伝承され続けてきたからに他なりません。
しかしながら、例えば伝統的工芸品の代表としては今日でも西陣織や京友禅が挙がってくる一方で、バブル崩壊前までは栄華を誇っていた呉服・着物業界は、需要の極端な減少と職人の高齢化・後継者不足から最早風前の灯火であります。このように文化芸術という観点からも優れ、価値がある伝統産業の存続が極めて危ぶまれています。京都のまちの重要なソフトとも言える、こうした文化が果たして無くなってしまって良いのでしょうか。これらの危機を打開すべく、また、国際文化観光都市京都のソフトとして、伝統文化の何を存続、伝承していかなければならないのかについて「想像力」を働かせ、主体的に考えることで、京都にとって無くしてはいけない文化を伝承する運動を、私たちが率先して行って参りましょう。
古都として長く栄えた歴史や伝統を持つ京都は、いわゆる「老舗」と呼ばれる創業100年以上企業の出現率が最も高いまちであることからも、京都には継続(=持続可能性)という概念が昔から浸透していると言えます。継続という言葉には常に革新という言葉がつきものであり、京都に多くの歴史ある企業や文化があるのは、絶えず革新を続けてきた結果でもあります。例えば、近年では日本のクールジャパン戦略としてゲーム、漫画、アニメ等が注目されていますが、長い歴史のある伝統文化だけではなく、現代のいわゆる「サブカルチャー」領域においても、世界を代表するゲーム会社や日本で唯一のマンガ学部を持つ教育機関、世界に誇るクオリティのアニメーション制作会社がある等、京都は独特の存在感を示しています。つまり、持続可能性を求め革新し続けることが根付いた京都には新しい文化を創造する土壌があるのです。京都がこれからも持続可能な国際文化観光都市として振興していけるよう「想像力」を働かせ、これからの京都を牽引していくような文化を普及させる運動を私たちから展開して参りましょう。
また、京都で長年続けられている祇園祭と時代祭は、多くの住民による地域の伝統文化への参画や文化財継承のための活動等を通して、コミュニティの絆を深める装置としても機能してきました。私たちはこれらの歴史や文化的意義を理解すると共に、それに参画できる貴重さに感謝し、誇りを持って協力して参りましょう。
相撲は我が国を代表する文化であり、スポーツ競技でもあります。わんぱく相撲京都大会では、相撲を通して練習を積んできた成果を発揮できる機会とすると共に、子どもたちがお互いを敬い、慮り、讃え合うフェアプレー精神の体得により、精神的にも成長する機会となるように協力団体と共に取り組んで参りましょう。また、わんぱく相撲全国大会への参加では、子どもたちが京都を代表して参加することに誇りを感じると共に、全国から集うライバルたちと切磋琢磨できる機会として参りましょう。
近年極端な熱波や、急増する線状降水帯による記録的豪雨やそれに伴う洪水が多発していますが、その背景に地球温暖化や気候変動があることは、まだまちの人々にはあまり認識されていないように見えます。また、大量消費・大量廃棄問題においても、廃棄のための輸送や焼却に使われるエネルギー消費・Co2排出の観点から、本当は地球温暖化や気候変動に直結する問題であるにも拘わらず、あまり関連した意識付けがなされていないようにも見受けられます。
私たち青年会議所は2015年世界会議金沢会議での金沢宣言の採択以降、日本でSDGsを最も推進する団体としてリーダーシップを発揮してきました。そして京都市もまた、SDGsを最も積極的に推進している都市の一つであり、京都青年会議所は2021年に京都市とSDGsパートナー宣言を調印し、今後もSDGsの推進や達成に向けた取り組みがますます求められています。
今こそ私たちが「想像力」を働かせ、自分たちの暮らしや生活に密着した問題として捉え発信し、脱炭素社会を目指した身近で具体的な解決策を提示していくことが、解決に向けての第一歩だと考えます。同時に、SDGsの現実的な達成にはこれからの世代がいかに主体的に解決のための行動を起こせるかに懸かっています。京都市とのSDGsパートナー宣言調印というこの機会を大いに活用し、SDGsを積極的に推進すると共に、現実的なゴール達成に向けた運動を展開することで、世の中に京都青年会議所の存在意義を伝え、共感を集めて参りましょう。
京都青年会議所はこれまで数多くの防災に繋がる運動を展開してきましたが、私たちが現在最も被害を受けている災害といえば、新型コロナウイルスのパンデミックではないでしょうか。コロナ禍によって、私たちはこれまで当たり前であったリアル空間での身体的交流が制限された生活を強いられ、一刻も早く以前のような交流を再開できる状況を渇望しています。しかし、ワクチン接種が最も進んでいる国々ですら未だに以前のようなマスクの要らない生活を取り戻せてはおらず、次々と変異していくコロナウイルスとの対峙も含め、コロナ禍収束までの課題は京都でもまだまだ多く残っています。当たり前に享受できていた日常を取り戻すためにも、最もアクティブな世代である私たちがコロナと共に生きていくうえでどのように振る舞い、どのような対策を取るべきかを理解することは重要です。京都のまちが一刻も早くコロナ前のような安全と安心を得られる状態に近づくように、減災の観点から、私たちができるコロナと共に生きていくための運動を展開して参りましょう。
本年度は、京都府知事選挙と第26回参議院議員通常選挙が行われます。私たちは政治参画意識と投票率向上を目指し、選挙の度に公開討論会を行い、市民が考える機会の提供へ協力して参りました。これらの機会提供は、公平中立な立場の青年会議所ならではの運動であり、京都青年会議所が必要な存在であるとまちの人々からの共感に繋がるよう、引き続き協力して参りましょう。また、2016年以来選挙権が18歳に引き下げられましたが依然として若者の投票率は相対的に低いままです。自分たちの票で世の中は変わらないといった思い込みや諦め、無力感に囚われず、政治を主体的に捉えるよう、若年層の政治参画意識向上に注力して、投票率向上に繋げて参りましょう。
JCI・JCI日本・近畿地区(協)・京都ブロック(協)への協力並びに出向者支援
出向は、人数や予算面でLOMとは違ったスケールの運動を経験できることで、出向ならではの多くの気づきや学びを得られる大きなチャンスとなります。また、青年会議所が持つ全国への幅広いネットワークを体感できると共に、グローバルに友情を育むことができる貴重な機会でもあります。これまでにも京都青年会議所は、数多くの出向者を輩出して参りました。引き続き、出向先で沢山の同志と絆を深め、大きく成長を遂げた出向者が学びをLOMへ持ち帰り他のメンバーに還元することで、京都青年会議所の組織力が一段と強化されるよう出向者を支援して参りましょう。特に、2018年以来の国内開催予定のASPAC堺高石大会を始め、JCI・JCI日本・近畿地区(協)・京都ブロック(協)が展開する運動をしっかりと理解し、各大会、諸事業、各ファンクションを貴重な資質向上の機会と主体的に捉え積極的に参加し、出向者支援に繋げて参りましょう。
京都会議への協力では、全国各地より入洛されるメンバーを京都青年会議所だからできるおもてなしの心を持ってお出迎えをすると共に、日本青年会議所の発信する運動が素晴らしいスタートを切れるようにしっかりと下支えをして参りましょう。また、京都会議へ協力できることは当たり前ではなく、特別であることに感謝をしながら、京都青年会議所にとっては年度当初に団結を図ることができる格好の機会として、そしてメンバーにとっては有意義な気づきや学びを得られる貴重な機会として、主体的に協力して参りましょう。
公益社団法人として、より運動・活動が展開しやすい組織に向けた予算や事業、会議運営の再構築
京都青年会議所は2012年10月1日に公益法人格を取得して以来、本年度で10年目を迎えます。設立当初からの事業である月例会は、京都青年会議所の運動の方向性を確認し、会員相互の交流、情報交換、資質向上等の場として開催されてきましたが、これらに加え、本年度は全ての運動を主体的に考え行動を起こせる会員への成長に繋げることを強く意識すると共に、社会課題解決と会員拡大に繋がる、市民に向けた月例会を多く展開して参りましょう。公益社団法人として、今の時代に適合しながら、メンバーがより運動と活動を展開しやすい組織となるよう、予算や事業、会議運営のあり方について、再構築やスリム化を行って参りましょう。また、公益社団法人としてのメリットを最大限享受できる仕組みを整備することで安定的な財源の確保を目指すと共に、京都青年会議所がまちの人々から必要とされ、より一層信頼される存在に近づけるよう努力をして参りましょう。
結びに
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり
されども、今廣く此人間世界を見渡すに、
かしこき人ありおろかなる人あり貧しきもあり冨めるもあり貴人もあり下人もありて
其有様雲と坭との相違あるに似たるは何ぞや」
福沢諭吉著 「学問のすゝめ」より
福沢諭吉のこの有名な一節ですが、一般的には「人間は生まれながらに平等であって、貴賤・上下の差別はない。」という意味で解釈されています。しかし、本当は「といへり」とあるように「と言われている。しかしながら、実際には賢い人と愚かな人、貧しい人と富んだ人、身分の高い人と低い人がいて、雲泥の差がついている。」と続いており、「その不平等な差を埋めるため、または生まないために、勉強して自分を磨くことをお勧めする。」と全く通説と逆の意味を説いているのが本来です。青年会議所で言えば、得られるあらゆる機会を積極的に獲得し、主体性を持って成長しようとする姿勢が大切であることと同じことを勧めているのです。
「アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと。
アメリカでは僕は外国人ですが。このことは、外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。
この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることはできたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。
孤独を感じて苦しんだことは、多々ありました。
ありましたけど、その体験は、未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと、今は思います。
だから、辛いこと、しんどいことから逃げたいと思うのは当然のことなんですけど、でも、エネルギーのある元気な時にそれに立ち向かっていく。
そのことは、すごく人として重要なことなんではないかなという風に感じています。」
イチロー選手の引退会見の最後の一節です。最もエネルギーがあり、だからこそ多忙で、その分成長できる時期。青年会議所が40歳までに上限を設定している理由はそこにあり、この貴重な期間をいかに自らの成長に費やせるかに、JAYCEEとしての真価が問われているのではないでしょうか。
まずは自分自身のためからで良い。
セレモニーを紐解けば、青年会議所の使命は「青年へ発展と成長の機会を提供すること」です。どのような「発展と成長の機会」かと言えば、「世の中をより良い方向に導くための運動を起こせる指導力や行動力を高める機会」のことです。つまりは、青年会議所は明るい豊かな社会を目指して運動・活動をしていますが、それはあくまでも前述の機会獲得のための手段だということです。自らのリーダーシップを高めるために、自分たちが住み暮らすまちの課題解決に繋がる運動・活動を展開し、結果として相乗的に自分も地域もWIN-WINで良くなっていく。
初めの一歩は世のため人のためではなく、自分のためで良いのです。まさに「情けは人の為ならず」の精神であり、一番大切なことは、まずは一歩前へ具体的に踏み出してみることではないでしょうか。限界を少しだけ超えるような負荷をかけることで筋肉が増強されるように、ほんの少し無理をしてあと一歩前へ。
まずは私たちから主体的に考え、具体的な一歩を共に踏み出しましょう!